Caustica|Cyclesでフォトンのコースティクスを出すBlenderビルド

Blender

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Cyclesでフォトンマッピングによるコースティクス(ガラスや水を通った光が床や壁に落とす光の模様)を描けるようにした、Blenderの改造ビルド「Caustica」がSuperhiveで販売されています。開発はHenrik Soeltzer氏で、公開は2026年8月下旬です。

中身はアドオンではなく、Blender 5.2 LTSの公式ソースに機能を1つ足したビルドです。コースティクスはレンダーカーネルの中で追跡する必要があるため、アドオンでは実現できないと説明されています。価格は59ドルで、動作にはWindowsとNVIDIAのRTX 2000番台以降のGPUが必要です。

チェックボックス1つで有効にする

使い方は、レンダープロパティのライトパス→コースティクスにあるPhoton Caustics Solverにチェックを入れるだけ、とされています。専用のマテリアルやライト、ノードの準備は要らず、保存済みのシーンを開いてそのまま有効にできます。ライトをビューポートで動かすと、キャッシュを作り直さずにレンダーが追従します。

倒れたガラス瓶が床に光の模様を落とすレンダーと、Photon Caustics Solverにチェックを入れた設定パネル(画像: Henrik Soeltzer)
ライトパスのコースティクス欄にあるPhoton Caustics Solverを有効にする(画像: Henrik Soeltzer)

既定では、光を曲げるマテリアルはすべてコースティクスを落とします。重いシーンではCastersを「Selected Materials Only」に切り替え、主役のオブジェクトだけに絞れます。ほかのオブジェクトはコースティクスを受けるだけになり、フォトンの予算が主役に回ります。

Blenderのビューポートで、グラスの飲み物が床に落とす光の模様がレンダリングされている画面(画像: Henrik Soeltzer)
保存済みのシーンでそのまま有効にしたところ(画像: Henrik Soeltzer)

GPUで回すプログレッシブ・フォトンマッピング

方式はプログレッシブ・フォトンマッピングで、製品ページはCoronaがコースティクスに使っているのと同じ系統の手法を、CPUではなくGPUで追跡していると説明しています。ライトから追跡し、NVIDIAのRTコアを使って毎秒1億フォトン以上を処理するとしています。ガラスだけでなく、クロームや磨いた金属、車の塗装も光を返します。

製品ページでは、同じ花瓶のシーンを同じ条件でレンダリングした時間の比較も出ています。2000サンプル・1000×1000で、通常のCyclesが27秒、Causticaを有効にした場合が32秒です。

バラを生けたガラスの花瓶を通常のCyclesでレンダリングした画像。足元は影だけ(画像: Henrik Soeltzer)
通常のCycles(27秒・2000サンプル)(画像: Henrik Soeltzer)
同じ花瓶をCausticaで有効にしてレンダリングした画像。足元に光の模様が落ちている(画像: Henrik Soeltzer)
Causticaを有効にした場合(32秒・2000サンプル)(画像: Henrik Soeltzer)

フォトンの追跡は解像度に依存しないので、大きく長いレンダーほど全体に占める割合は小さくなる、という説明です。

水面の光、色付きのガラス、アニメーション

プールの水面が壁に落とす揺らぎのように、普段は投影テクスチャで作るような表現も、波の形状から直接出せるとしています。液体のボリューム吸収もフォトンに乗るので、色の付いた液体や色ガラスは色の付いた光を落とします。

プールの水面が白い壁に光の揺らぎを落としているレンダー(画像: Henrik Soeltzer)
プールの水面が壁に落とす光(画像: Henrik Soeltzer)

アニメーションでは各フレームを一から解き、同じフレームは何度レンダリングしても同じ結果になるとしています。製品ページは、300フレームをレンダリングしてもちらつかないことを強調しています。

強さの調整と、ライトごとのパス出力

コースティクスの強さはスライダー1本で上げ下げでき、1.0が物理的に正しい値です。マテリアルごとに落とすかどうかを選べ、ライトごとのオン・オフ、ライトリンクにも対応します。

緑と赤のガラスの仏像が色の付いたコースティクスを落としている画面と、強さの設定パネル(画像: Henrik Soeltzer)
色ガラスは色の付いた光を落とす。強さはスライダーで調整(画像: Henrik Soeltzer)

コースティクスは専用のレンダーパス(AOV)として出力されます。ライトグループを使えばライトごとに1枚ずつパスが出るので、再レンダリングせずにコンポジットで光のバランスを調整できます。

Blenderのレンダー画面で、ライトグループごとのコースティクスのパスを選んでいるところ(画像: Henrik Soeltzer)
コースティクスは専用のパスで、ライトごとにも出力できる(画像: Henrik Soeltzer)

普段のBlenderの横に置いて使う

zipを展開してblender.exeを起動する形で、インストーラーも管理者権限も要りません。既存のBlenderを置き換えず、アドオン・設定・テーマ・キーマップは初回起動時から引き継がれます。普段は通常のBlenderを使い、最終レンダーのときだけ同じ.blendをこちらで開く、という使い方もできます。チェックを外せば通常のBlenderと同じで、CPUではレンダー結果が公式版とピクセル単位で一致するとしています。

  • ライト サン、HDRI、スカイテクスチャ、ポイント、スポット、エリア、メッシュ発光の7種類
  • GPU CUDAとOptiXに対応。現時点ではGPU 1基のみ
  • 非対応 AMD・Intel・Apple SiliconのGPU、EEVEE
  • ダウンロード 927MBのzip 1つ

価格・入手先

価格59ドル
対応バージョンBlender 5.2 LTSベースのビルド(Cyclesのみ)
対応OSWindows(NVIDIA RTX 2000番台以降)
ライセンスGPL
作者Henrik Soeltzer
入手先Superhive

アップデートは買い切りで生涯無料とされ、Blenderの次のLTSが出るとCausticaもそれに合わせたビルドが提供されます。そのため、以後のBlenderはblender.orgではなくSuperhiveから入手することになります。

管理人のひとこと

初見のツールです。アニメの背景でも、グラスや水槽の足元にコースティクスが欲しいカットはありますが、うちではだいたいテクスチャを投影するか、撮影側で足してもらっています。ライトごとにパスで出せるなら、撮影に素材として渡す使い方ができそうです。

気になるのは、アドオンではなくBlender本体を差し替える形なところです。チームで使うならバージョンをそろえる手間が増えるので、普段のBlenderは据え置きで、最終レンダーだけこちらで開く運用になりそうです。

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