TenPix Cloth|重ね着した服をGPUで動かせる、3ds Max用の布シミュレーション

TenPix Clothの告知画像。ジャケットとパンツを着た女性キャラクターの横に、製品名と対応環境(3ds Max 2024〜2027、NVIDIA RTX、Windows 10 / 11)が並ぶ 3dsMax

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3ds Max用の布シミュレーションプラグイン「TenPix Cloth」が発売されました。開発したのは10Pix StudioのAlireza Akhbariarabani氏(@akhbari_alireza)で、2026年10月28日にXで公開を告知しています。9月まではプライベートベータとして開発が進んでいました。布の計算をNVIDIAのグラフィックカードで行うので、密度の高い服でも再生しながら調整できます。服の着せ付けや重ね着、旗やカーテンといった本番の布の仕事に向けて作られています。

Akhbariarabani氏は、発売に合わせて紹介動画をYouTubeで公開しています。

BendやSkinと同じ感覚で、布を組める

TenPix Clothは、20種類のモディファイヤの組み合わせで動きます。BendやSkinを足すのと同じようにメッシュへモディファイヤを積み、タイムラインを再生すると布の計算が走ります。スタックのいちばん上に置くのがTnpix Solverで、計算の品質と衝突の方式をここで決めます。いちばん下のTnpix Garmentは、メッシュを均一な三角形に作り直す役目です。そのあいだに重力、衝突、自己衝突、布の素材、ピン留めなどのモディファイヤを必要なぶんだけ挟みます。

モディファイヤリストにTnpix Cache、Tnpix Solver、Tnpix Collisionなどが積まれ、いちばん下にEditable Polyがある図と「20 modifiers. One simulation.」の文字(画像: 10Pix Studio)
メッシュにTenPixのモディファイヤを積んで布を組む(画像: 10Pix Studioの紹介動画より)

衝突の判定には、ぶつける相手のメッシュの三角形をそのまま使います。そのため布は、モデリングしたとおりの形の上に乗ります。公式サイトには、同じシーンを同じ設定で計算すれば毎回同じ結果になる、とも書かれています。

重ね着の順番と縫い合わせを決められる

自己衝突のモディファイヤは、布が自分自身をすり抜けないようにし、ほかの服との重なりも扱います。服どうしがぶつかったときにどちらが押しのけられるかは、レイヤーの順番で決めます。ピン留めはアニメーションするオブジェクトに追従させられ、Tnpix Stitchで服どうしを縫い合わせることもできます。Marvelous Designerで作った服を3ds Maxに読み込み、端をTenPixで縫い合わせて動かす手順も、作者が短い動画で見せています。

Tシャツやズボンなど複数の服をキャラクターに着せて、ピン留め、縫い合わせ、自己衝突、レイヤーの順番を設定していくチュートリアルも公開されています。

袖口や襟は、キャラクターの動きに合わせられる

布の中で素材やピン留め、縫い目、破れる場所を分けたいときは、Tnpix Channelで名前付きのウェイトマップを塗ります。1着の服の中に、複数の生地を混ぜることもできます。

Tnpix Preserveは、塗った範囲だけを計算から外すモディファイヤです。袖口や襟を塗っておくと、その部分はSolverより下にあるSkinなどの変形に従って動き、境目はなだらかに布へつながります。

Tnpix Preserveの説明図。上の塗った帯はアニメーションに沿い、その下の線は布として波打っている(画像: 10Pix Studio)
塗った範囲(紫)はアニメーションに沿い、残りが布として動く(画像: 10Pix Studioの紹介動画より)

布を裂く機能もあります。塗った範囲で裂くほか、伸びや圧力が一定を超えたところで裂けるようにもでき、裂け目や塗った裾からは縦糸と横糸がほつれて出ます。閉じたメッシュは体積を保ったまま動かしたり、浮かせたりでき、ボタンやバックルは固いまま残せます。脂肪やゼリーのような柔らかい物体と簡単な筋肉を、布と同じ計算で動かすソフトボディは、まだ実験的な機能という扱いです。

服ごとの設定を、1つのウィンドウで見渡せる

TenPix Graphは、Solverのグループと、そこに含まれるモディファイヤをまとめて表示するウィンドウです。シャツ、ジャケット、ズボンの3着を1つのSolverで計算するときなら、服ごとのモディファイヤと、3着で共有している衝突や重力のモディファイヤが並んで見えます。モディファイヤの追加や並べ替え、値の変更もこのウィンドウでできます。操作は3ds Max本体の元に戻す(Undo)で取り消せます。

TenPix Graphの画面。シャツ、ジャケット、ズボンの3着それぞれのモディファイヤと、3着で共有するSelf Collision、Gravity、Collisionが並び、左に服を着たキャラクター(画像: 10Pix Studio)
3着の服を1つのSolverで計算するときのTenPix Graph(画像: 10Pix Studioの紹介動画より)

計算結果は、TenPix独自の形式かAlembicでキャッシュに書き出せます。キャッシュはリタイムやスムーズをかけられるほか、モーションブラー付きでレンダリングしたり、高解像度のメッシュに結果をラップしたりもできます。風や重力など、3ds Max標準のスペースワープでも布を動かせます。レンダーファームのDeadlineでキャッシュを書き出すためのスクリプトも付いています。どのパネルもMAXScriptから操作できます。

価格・入手先

価格200ドル(2026年12月31日まで150ドル)
対応バージョン3ds Max 2024〜2027
対応OSWindows 10 / 11
作者Alireza Akhbariarabani(10Pix Studio)
入手先Gumroad

動かすにはNVIDIAのRTXシリーズのグラフィックカードが必要です。2026年12月31日までは発売記念で25%引きの150ドルです。公式サイトから購入ページへ進むと自動で割引が付き、それ以外の経路ではチェックアウトでコード「LAUNCH」を入れます。2027年1月1日からは200ドルです。

ライセンスはサブスクリプションではない買い切りで、1ライセンスで1台のPCに入れられます。購入から1年間はアップデートとサポートを受けられ、その間に出たバージョンは1年が過ぎても使い続けられます。2年目以降は40%引きで1年ずつ更新できます。認証のときに1回だけインターネットにつなげば、その後はオフラインで動きます。無料のデモ版は、2万5,000頂点までのメッシュを最初の100フレームだけ計算でき、それ以外の機能は製品版と同じです。各モディファイヤの説明は公式サイトのドキュメントに、使い方はチュートリアルにまとまっています。

管理人のひとこと

3ds Maxで服を揺らすときは、標準のClothモディファイヤを使うか、Marvelous Designerなど外のソフトと行き来するのが定番でした。TenPix Clothはモディファイヤを積む作りなので、いつものスタックの延長で布を組めるのが分かりやすいところです。重ね着の順番を決められるのも、ジャケットの下にシャツを着せたキャラでは欲しくなります。

セットアップの目線だと、袖口や襟をSkinの動きに沿わせるPreserveが気になります。袖口や襟は体に近いぶん、計算に任せきりにすると手首や首にめり込みやすい所です。MAXScriptからどのパネルも操作できるので、キャラごとの設定をスクリプトで流し込めるかも試してみたいですね。

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