ソニーは2026年9月10日、mocopiで収録したモーションを3ds MaxのBipedへリアルタイムに送れるプラグイン「mocopi Receiver Plugin for 3ds Max」をオープンソースとして公開しました。BVH・FBXのモーションファイルをBIPファイルへ直接変換する機能も入っています。無料で、ライセンスはApache License 2.0、対応は3ds Max 2023〜2027です。

主な特徴
- リアルタイム受信: mocopiアプリからUDP経由でモーションを直接受信
- Biped連携: mocopiの体型で新しく作ったBiped、またはシーンにある既存のBipedへリターゲット
- ライブプレビュー: ストリーミング中にライブモードを切り替えてビューポートで確認
- タイムラインへの記録: 収録したモーションをBipedに焼き込み、.bipとして保存
- BVH / FBXからBIPへ: mocopiのBVH・FBXファイルを、接続なしで.bipに変換
- 導入: Autodesk Application Packageとして配布。DLLの手動配置は不要
受信中はBipedのコントロールウィンドウにある接続表示が緑の「Connected」に変わり、mocopiを着けた演者の動きにBipedが追従します。受信したモーションの揺れを抑えるSmooth motion、脚が交差しないようにするKeep knees apartといったオプションも用意されています。

演者を増やすときは、Bipedを追加するごとに専用のコントロールウィンドウが付き、UDPのポート番号も1つずつずらして自動で割り当てられます。
手元にあるBVH・FBXのモーションは、Convert to BIP…のウィンドウで複数まとめてキューに入れ、出力先のフォルダを指定して一括で.bipに変換できます。

使い方は、ソニーのmocopi公式チャンネルが約8分の動画で解説しています。
アニメ制作スタジオの要望から始まった開発
ソニーは公開と同じ日に、開発に協力したスタジオ42(株式会社 スタジオフォートゥー)への取材記事も出しています。3ds Maxを軸にTVアニメのCGを手がけているスタジオで、3DCGディレクターの室薗勇輝氏が取材に答えています。
記事によると、室薗氏がmocopiに触れたのは2025年1月に秋葉原で開かれたmocopiプロフェッショナルモードの体験会でした。ただ、当時3ds Maxで使うにはMotionBuilderを挟む必要があり、手間とコストの面で導入に壁があったといいます。2026年2月のアニメ制作関連のイベントで「Maxに直接繋がれば便利なのに」という声をmocopi開発チームが受け取り、開発が始まりました。開発はプロトタイプをスタジオに触ってもらいながら進めたそうです。
制作現場にとって特に重要な機能として、記事では次の2つが挙げられています。
- 本番キャラクターでのリアルタイム確認: mocopiアプリのプリセットアバターではなく、3ds Max内の制作用キャラクターで確認。体格や衣装の違いによるめり込み、可動域、画角から見た印象を収録しながら把握
- BIPデータへの変換: 従来はMotionBuilderが必要だったフォーマット変換やリターゲットの設定を、3ds Max側で完結
アニメ制作での3つの使い道
室薗氏は、これまでできなかった制作の流れとして3つの使い方を挙げています。

- 手付けでは回らなかったモブへの活用: 工数が膨らんで手が回らなかったモブキャラやモンスターの群れのカットに、mocopiで収録したモーションを使って画面の密度を上げる使い方
- 「0から1」をmocopiで作る: ベースの動きをmocopiで作り、クリンナップや演出に合わせた調整を経験の浅いスタッフに分担。見せ場のカットは実力のあるアニメーターに集中
- レイアウト段階での検証と指示: 歩きながら会話する場面の歩く速度・セリフの長さ・移動距離を早い段階で確認。「3Dでは難しい」と思われている表現も、短時間でベースを作って画として提案
現在は室薗氏自身が、デスクまわりで30分から1時間ほどの空き時間に収録しているそうです。収録したモーションは、アニメのタイミングになるように3ds Maxでキーを調整し、手付けで修正していると話しています。若手の教育にも使いたいとしていて、自分で身体を動かしてキャラクターの動きとの連動を確かめさせたり、どこを削って間引くと気持ちよく見えるのかを考えさせる、コマ抜きやデフォルメの教材にしたりする案が出ています。
使った人の反応
『勇者パーティを追い出された器用貧乏』のCGディレクションを手がけるノゾロム氏は、開発に協力したとXに書いています。
普段使っている3ds Maxのビューポートで、Bipedや自社のキャラクターがリアルタイムに動く様子を挙げています。
価格・入手先
| 価格 | 無料(オープンソース) |
| 対応バージョン | 3ds Max 2023 / 2024 / 2025 / 2026 / 2027 |
| 対応OS | Windows 10 / 11(64bit) |
| ライセンス | Apache License 2.0 |
| 作者 | ソニー |
| 入手先 | GitHub |
使うにはmocopi本体と、最新のmocopiアプリ(iOS・Android・Windows)が必要です。アプリを入れた端末と3ds MaxのPCを同じローカルネットワークにつなぎ、UDPで送ります。ソニーの取材記事では、mocopiの価格を通常版49,500円(税込)、プロキットと合わせて141,900円(税込)と紹介しています(2026年9月時点)。
配布ファイルとインストール手順はGitHubのREADME、動画での解説はmocopi開発者サイトのセットアップページにまとまっています。
管理人のひとこと
普段3ds Maxを触っているので、mocopiのモーションがMotionBuilderを通さずにBipedへそのまま入ってくるのはありがたいです。モデルを作る側として気になったのは、本番のキャラクターで衣装のめり込みや可動域を収録しながら見られる、という話でした。肩まわりや裾の破綻は、動かしてもらってから気付くことが多いです。
本体が5万円弱というのも、スタジオでキャプチャを押さえるのと比べれば検証用に手を出しやすい値段です。デスクの空き時間に録ってすぐ3ds Maxで確かめられるなら、モデルのチェック用に1セット置いておく現場も出てきそうですね。



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