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Lewis Martin氏のBlenderアドオン「PocketCam」がSuperhiveで販売を始めました(紹介動画は2026年10月20日公開)。スマホでQRコードを読み込むと、スマホがBlenderのシーンの中のカメラになるアドオンです。スマホを傾けるとカメラの向きが、持って歩くとカメラの位置が変わり、録画ボタンを押すとその動きが毎フレームのキーとしてカメラに記録されます。スマホ側にアプリを入れる必要はなく、iPhoneならSafari、AndroidならChromeで開いて使います。
スマホの動きがそのままBlenderのカメラの動きになる
使い方は、読み込む・動かす・録るの3段階です。Blenderで「Connect Phone」を押してQRコードをスマホで読み込むと接続され、スマホの位置と向きがBlenderに送られます。スマホの画面にはBlenderのカメラの映像が出るので、それを見ながら構図を決めます。録画ボタンを押すとタイムラインが音付きで再生され、その間のカメラの動きが毎フレームのキーとして保存されます。

作者は、手でキーを打ったカメラの動きはレールに乗ったように滑らかすぎると書いています。実際にカメラマンが撮ると、揺れや流れ、行き過ぎてから戻る動きが入ります。作者は、その細かい不完全さがあるから撮影した映像に見えると考えています。PocketCamでは、その動きを自分の手で付けて、1テイクで記録します。
カメラの映像をスマホの画面で見ながら撮る
スマホに送られる映像は、PCの画面を録画したものではなく、Blenderがカメラの視点をレンダリングして送っているものです。そのため、macOSで画面収録の許可を求められたり、映像が真っ黒になったりすることはないとしています。映像のサイズ・フレームレート・画質は、回線に合わせて選べます。

部屋の中を歩いてシーンの中のカメラを動かす
前に歩けばカメラが寄り、弧を描いて歩けば被写体の周りを回り、しゃがめばローアングルになります。スマホの位置は、iPhoneではカメラとモーションセンサーで、AndroidではGoogleのARCoreで読み取ります。この歩いて動かす機能はPersonalとStudioのプランだけにあります。作者は明るく物が写り込む部屋で撮るよう勧めていて、白い壁しか写らないと位置を読み取る手がかりが無いとしています。

1歩でカメラがどれだけ進むかは、Movement Scaleで変えられます。小さくすれば机の上のミニチュアを撮るような動きになり、大きくすれば1歩で街や地形を越えるような移動になります。撮影の途中でも変えられます。
6本の単焦点レンズとズームを切り替える
レンズは14・24・35・50・85・135mmの6本の単焦点をタップで切り替えられます。ズームホイールに切り替えると、親指で12〜200mmのズームを撮影中に回せます。ピンチでのズームにも対応しています。焦点距離の変化もテイクと一緒に記録されます。ズームホイールはPersonalとStudioのプランだけの機能です。

撮ったテイクの揺れとレンズをあとから直す
録画するたびに別のテイクとして残り、クリック1つで切り替えたり、失敗したテイクを消したりできます。撮り終えると確認の画面に移り、テイクが再生されてキーがタイムラインに並びます。カメラに元から付いていたアニメーションは別に取っておかれるので、撮影の途中で保存しても消えません。
テイクごとに、揺れの抑え方を0(手持ちのまま)から1(ステディカム並みに滑らか)のあいだで後から付け直せます。各テイクには手を加える前の動きが残っていて、この平滑化で動きが遅れることもないとしています。焦点距離も撮ったあとで変えられ、撮ったままにする、テイク全体を1つの焦点距離にそろえる、自分でキーを打つ、から選べます。
撮影中の揺れを抑える設定には次のものがあります。
- Real-time Smoothing: 手持ちのままからステディカム並みまで、撮影中に平滑化
- Horizon & Height lock: ロールを0に固定、またはカメラの高さを固定
- Tripod mode: 三脚の雲台のようにパンとティルトだけにする
- Hand Pivot & Movement: スマホのセンサーから、手で持ったときの視差と細かい揺れを付ける
画面を見るためにスマホを下に傾けたときは、Recenterで水平に戻せます。3Dカーソルを置いた位置をHomeとして登録しておけば、Go Homeでカメラをその位置と向きに戻してから次のテイクを撮れます。
歩いて出せない動きはジョイスティックで足す
スマホの画面にはジョイスティックが2つあり、スマホで構図を決めたまま、カメラを前後・左右・上下に動かしたり、回したりできます。クレーンアップ、長いドリー、ゆっくり回り込むような、腕では出せない動きに使います。ジョイスティックはLiteを含むすべてのプランで使えます。

最初の接続設定はBlenderの中で済む
初めて開いたときはBlenderの中で設定の案内が出て、作業は5分ほどで終わるとしています。無料のCloudflareアカウントを作り、トークンを貼ってConnectを押し、Create Phone Appを押す手順で、ターミナルの操作やコードの記述はありません。スマホ側の画面はユーザー自身のCloudflareアカウントに作られ、スマホとBlenderはそこを経由してつながります。
このため、PCとスマホが同じWi-Fiにつながっている必要はなく、モバイル回線でも使えます。接続が切れても自動でつながり直し、QRコードを読み直す必要はありません。位置を追うためにスマホのカメラが撮った映像は、スマホの中で処理されて外には送られないとしています。
価格・入手先
| 価格 | 12ドル(Lite)/ 24ドル(Personal)/ 69ドル(Studio・10人まで) |
| 対応バージョン | Blender 4.2 LTS〜5.2 |
| 対応OS | Windows / macOS(スマホはiPhoneのSafari、AndroidのChrome) |
| ライセンス | GPL |
| 作者 | Lewis Martin |
| 入手先 | Superhive |
Liteは、スマホのジャイロでカメラの向きを変え、位置はジョイスティックで動かすプランです。歩いて動かす6自由度のトラッキングとズームホイールは入っておらず、レンズは単焦点だけです。どのプランも商用利用でき、収入の上限はありません。1.x系のアップデートは無料です。Androidで歩いて動かすには、ARCoreに対応したスマホが必要です。PCとスマホの両方にインターネット接続が要ります。売り上げの1%はBlender Development Fundに寄付されます。
管理人のひとこと
アニメのCGパートのカメラは、キーで打った滑らかな動きのほうが作画と馴染むカットが多いです。それでも手持ち風の揺れが欲しいカットはあって、そのときはノイズを足して作ることになります。スマホを持って動くだけで揺れごと記録できるなら、そういうカットの叩き台は早く作れそうです。撮ったあとで揺れの抑え方とレンズを変えられるので、揺れすぎたテイクも捨てずに済みます。
スマホをBlenderのカメラにする道具は、前にVirtuCamera Proを紹介しました。あちらはスマホにアプリを入れる作りで、PocketCamはブラウザで開くだけなのが違うところです。カメラワークの用途のほかに、作ったモデルをカメラを持って覗き込む確認にも使えそうなので、セットの中を歩き回るのは試してみたくなります。


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