Blenderの開発者ブログ(code.blender.org)に、2026年10月5日、ジオメトリノードの開発ワークショップの報告「Geometry Nodes Workshop: September 2026」が載りました。書いたのは開発者のJacques Lucke氏です。ワークショップは例年どおりBlender Conferenceの翌週に開かれ、コミュニティからMolecular Nodesの開発者Brady Johnston氏と、Cartesian Caramel氏が招かれました。報告には、モーダルなノードツール、ソケットの型を自動で決める仕組み、ノードの自動整列、GPUでの評価などの議論がまとまっています。ここで話し合われたのは設計の方針で、どれもリリースの時期は決まっていません。

- Blender 5.1〜5.3で入った主な機能
- モーダルなノードツール:ブラシのような道具を、ノードで作れるように
- ベイクと書き出し:グループを開かずに実行できるように
- Dynamicソケット:型を毎回選ばなくてよくなる
- リストフィールド:要素ごとにリストを扱えるように
- コメントとビュー:グループの中身を外から確かめられるように
- Node Arrange:自動整列が本体に入る見込み
- ノードの絞り込み:初めての人に、よく使うノードだけを見せる案
- 物理:流体・剛体・クロス・ヘアの次の課題
- GPU評価:ジオメトリノードの一部をGPUで動かす計画
- Construct Mesh:トポロジーを指定して、メッシュを直接組めるように
Blender 5.1〜5.3で入った主な機能
報告の冒頭では、Blender 5.1・5.2 LTS・5.3で入った機能を振り返っています。主なものは次のとおりです。
- XPBDソルバーを使った、実験的なクロスとヘアのダイナミクス
- リストのデータを扱う最初の機能
- メッシュのベベルノード「Mesh Bevel」
- アーマチュアのボーンの情報を取る「Bone Info」ノード
- 音で動きやシミュレーションを動かす「Sample Sound Frequencies」ノード
- エンプティにもジオメトリノードを使えるように
- Markdownの書式が使えるコメントノード
- 別に起動したBlenderどうしでのノードのコピー&ペースト
- Switchノードなど、よく使うノードをシェーダーノードにも移植
モーダルなノードツール:ブラシのような道具を、ノードで作れるように
ノードツールは、Pythonを書かずにジオメトリノードでBlenderのオペレーターを作る仕組みで、Blender 4.0で入りました。これを、ブラシのように入力を受け取り続ける「モーダル」なツールにも広げる作業が進んでいます。作業中のプルリクエストがすでにあり、これを使ってクロスのスカルプトツールや小さなゲームを作った人もいます。
ワークショップでは、イベントの入力の扱いを詰めました。キーを押した・離したという瞬間の情報だけでなく、ボタンが今押されているかや、ペンの筆圧のような今の状態もノードから読めるようにする方針です。冒頭の動画は、Androidのタブレットでモーダルなノードツールを動かしているデモです。
ベイクと書き出し:グループを開かずに実行できるように
クロスやヘアのダイナミクスのような高レベルのノードグループでは、ベイクのボタンがグループの奥のノードに埋もれていて、使う人が中を開かないと押せません。そこで、ノードグループのインターフェースにベイクのボタンを出し、グループノードやモディファイアーの画面から押せるようにします。前処理・シミュレーション・後処理で別々のボタンを置くこともできる設計です。

途中のジオメトリをOBJなどに書き出す「Export」ノードも検討されています。評価のたびに勝手にファイルを書くと、速度と安全の両面で問題が出ます。そのため、ベイクと同じくボタンを押したときだけ書き出す形にします。
Dynamicソケット:型を毎回選ばなくてよくなる
今は多くのノードに型を選ぶメニューがあり、毎回正しい型を選ぶのが手間になっています。組み込みのノードは型が固定されているので、どの型でも動くノードグループも作れません。
そこで「Dynamic」という新しいソケットの型を入れて、多くのノードの初期値にします。最初にリンクをつないだ時点で、つないだ相手の型に決まります。いったん決まった型は、リンクを外したりつなぎ直したりしても変わりません。ただしMathノードだけは例外で、整数をつないでも浮動小数点で計算するほうが自然なので、特別に扱います。型を変えたいときは、右クリックのメニューかサイドバーから変えます。ノードの上の型メニューは表示しなくなる予定です。

リストフィールド:要素ごとにリストを扱えるように
リストは、要素ごとにリストを計算する「リストフィールド」と、リストを1つの値にまとめる「Reduce List」ノードが議論されました。リストフィールドが入れば、メッシュのトポロジーを扱うノードの多くがリストをそのまま出力できるようになり、「Index of Nearest」で近い点をn個取れるようにもなります。
コメントとビュー:グループの中身を外から確かめられるように
コメントノードは、ノードやフレームにくっつけて、ノードを動かしても離れないようにします。吹き出しのようにノードの上に表示する形です。コメントを追加するショートカットにCキーを使う案もありますが、Cキーは今はサークル選択に使われているので、まだ決まっていません。

ノードグループの中身を確かめたいとき、今はグループの中に入ってビューアーを使うか、確認用のジオメトリを出力に混ぜる必要があります。これに代わって、グループが確認用の表示を用意しておき、使う人がオン・オフできる「ビュー」を作ります。作業中のプルリクエストもあります。ビューアーに渡したデータを、色や線の太さを指定したオーバーレイとして表示する案も出ていて、こちらは技術デモがあります。
Node Arrange:自動整列が本体に入る見込み
ノードの並べ方の議論や、見た目を整える手作業に時間を取られている、という話も出ました。コミュニティではNode Arrangeアドオンが定番で、ダウンロードは約25万件あります。このアドオンをC++に移してBlender本体に入れることに、全員が賛成したそうです。
ノードの絞り込み:初めての人に、よく使うノードだけを見せる案
初めてノードを触る人が、数の多さに圧倒される問題も話し合われました。子ども向けのビジュアルプログラミング言語Scratchのように、ノードをカテゴリーに分け、よく使うものだけを最初に追加メニューに出す案です。ほかのカテゴリーは、メニューの最後のボタンで出せます。検索では、隠れているノードも含めて全部見つかります。
物理:流体・剛体・クロス・ヘアの次の課題
Blender 5.2で入った実験的な物理は、いくつかの方向で作業が続いています。流体は、ボリュームグリッドを使ったシミュレーションの実験から、Rasterize PointsとPoisson Solverのノードが生まれました。

剛体には、物理エンジンのJoltライブラリをBlenderで使えるようにする作業が進んでいます。衝突の初期設定は、剛体どうしはぶつからず、外部のコライダーとだけぶつかる形に決めました。剛体どうしをぶつけたいときは、グループIDなどで指定します。

クロスは、自己衝突が無いことと、曲げの拘束が弱いことが、まだ大きな制限として残っています。実験的な扱いから外すには、この2つを先に片付ける必要があるとしています。ヘアのダイナミクスでは、カーブに沿って先へ行くほど強くかかる風のノイズのように、アニメーションモードの基本的な機能を足す予定です。

GPU評価:ジオメトリノードの一部をGPUで動かす計画
ジオメトリノードの一部をGPUで評価するのは、前からの目標です。アトリビュートの格納方式の改善やVulkan対応が進み、コンポジターでの実績もあって、今までより実現しやすくなったとしています。まずはVulkanとMetalに絞り、データをCPUに戻さずに済む場面を中心に進めます。全部のノードがGPUで動くわけではないので、ノードごとに「Auto」と「Custom」を選び、Blenderに任せるか使う人が指定するかを決めるメニューが付く見込みです。
Construct Mesh:トポロジーを指定して、メッシュを直接組めるように
メッシュやカーブを、トポロジーを指定して直接組む「Construct Mesh」「Construct Curves」ノードの作業も進んでいます。入力はフィールドではなくリストにすることで合意しました。理屈の上では、ほかのメッシュやカーブのプリミティブのノードは全部これで作れるそうです。

このほか、組み込みアセットを.blendファイル1つずつに分けてBlenderのリポジトリに入れる計画、ノードをPythonのコードに変換して差分を見やすくする「nodebpy」の話、ジオメトリ・シェーダー・コンポジターで共通の画像ノードの話も報告にあります。会議中のメモは、ブログから全文を読めます。
管理人のひとこと
ソケットの型がつないだ相手で決まるのは、毎日ノードを触っている人ほど助かる変更だと思います。型のメニューを選び直す手間は、1回ずつは小さくても回数が多いので積み重なります。Node Arrangeが本体に入れば、人から受け取ったノードも並びがそろって、中身を追いやすくなりそうです。
モーダルなノードツールでブラシが作れるようになると、Pythonを書けない人でもスカルプト系の道具を自作できるようになります。どれも時期は決まっていませんが、5.x系でどこまで入るか追いかけたいですね。


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