Maya用の無料ツールセット「Amaterasu」の最新版Ver20260809が2026年8月9日に公開されました。目玉は、板ポリ1枚に部屋のような奥行きを再現するParallax Cube Mappingシェーダーの追加です。ビューポート用とArnold用が同梱され、両者の見た目が一致するようになっています。ほかにモデリング系ツールの高速化とUIの統一、色指定まわりの不具合修正が入っています。
Amaterasuとは
Amaterasuは、takkun(@takkun3d)氏が開発しているMaya用のオープンソースツールセットです。ファイル管理・モデリング・リギング・レンダリングまで公式マニュアルに並ぶツールは119件。これが1つのパッケージに入っていて、GitHubでMITライセンスのもと配布されています。ライセンスの要約ページでは商用利用・修正・配布のいずれも可と明記されています。対応はMaya 2024〜2027で、Python 3.10以降とPySide 2/6の環境を前提としています。
板ポリ1枚に部屋の奥行きを再現する
今回追加されたParallax Cube Mappingは、1枚のテクスチャから「中に空間があるかのように見える」奥行き表現を作るツールです。ビル外観の窓に室内を映すといった、実際には作っていない内側を板ポリで見せる用途に向いた手法になります。
シェーダー側のパラメータは、テクスチャのほかに空間の深さを決めるDepth、テクスチャの端が隣の面ににじむのを防ぐUV Margin、そして手前に重ねるためのLayer 0〜3が用意されています。各レイヤーは表示のオンオフ、奥行き位置、上下左右のオフセット、乗算・スクリーン・オーバーレイなどの合成モード、不透明度を個別に設定できます。
テクスチャは3×3の区画で用意する
使う前に押さえておく必要があるのがテクスチャの作り方です。解像度は任意ですが、3分割した区画で計算される決まりになっています。中央の列が上・中央・下、その左右にLeftとRightが入って部屋の5面にあたり、四隅の4マスが手前に重ねるLayer 0〜3になります。UVとテクスチャの比率も合わせる必要があります。


ビューポートとArnoldで結果が一致する
この種のシェーダーで手間になりやすいのが、リアルタイム表示とオフラインレンダリングで見た目がずれる点です。Amaterasuはビューポート用のGLSL / HLSLシェーダーとArnold用のOSLシェーダーを両方用意し、結果が一致するように設計したとしています。実行するとプロジェクトの renderData\shaders 以下に3種類のシェーダーファイルがコピーされる仕組みです。
さらに、このシェーダーはAmaterasuがインストールされていない環境でも再現できると明記されています。外部に渡すアセットに使っても、受け取り側にツールの導入を求めずに済むということになります。動作にはMaya標準の glslShader.mll、dx11Shader.mll、mtoa.mll がロードされます。
Ver20260809の主な変更点
- Recover Edge Type: 処理の高速化と、ソフト/ハードエッジ判定の精度向上。ツール名も変更されたため、シェルフに登録している場合は登録し直しが必要
- Smooth Mesh Preview: Maya 2024のすべてのパラメータに対応(OpenSubdivとMaya Catmull-Clarkのコントロールを含む)
- Flatten Faces: 計算の基準をバウンディングボックス中心から頂点座標の平均へ変更
- Apply Crease Edge / Extract Face Each Material: 内部処理を見直して実行時間を短縮
- Remove Half / Mirror Geometry / Mirror Polygon / Symmetry: 軸の指定UIをラジオボタンからドロップダウンへ統一
- Poly Cleaner: Delete Historyがヒストリを消せない場合がある不具合を修正。Unlock TransformationsとBreak ConnectionsがVisibility属性に対応
- Outline Color / Drawing Color: RGBモードのときカラーダイアログから色を選べない不具合を修正
- Amaterasu本体: 起動時のスプラッシュスクリーンを差し替えず、Maya標準の起動画面を出すよう変更
価格・入手先
| 価格 | 無料 |
| 対応バージョン | Maya 2024〜2027 |
| ライセンス | MIT License(商用利用可) |
| 作者 | takkun(@takkun3d) |
| 入手先 | GitHub |
各ツールの使い方とパラメータの詳細は公式ドキュメントにまとまっています。
管理人のひとこと
板ポリに内装を見せる手法自体はゲーム側で広く使われているものですが、Mayaでビューポートとレンダラーの両方をそろえた状態でワンクリック作成できるのは楽そうです。ビル群を引きで見せるカットで、窓の内側をどこまで作るか毎回迷うところなので、テクスチャさえ用意すれば板で済ませられる選択肢があるのは助かります。
個人的にありがたいのは、Amaterasu無しの環境でも再現できると明記されている点です。ツール依存のシェーダーは外に出した瞬間に崩れるので、外注や他部署に渡すデータには入れづらいのですが、これなら気にせず使えます。テクスチャを3×3で割る決まりだけは、作り始める前に共有しておかないと後から描き直しになりそうです。
更新内容のほうは、軸指定のUIをドロップダウンに揃えたり、Delete Historyでヒストリが消えない場合を潰したりという整備が並びます。毎日触るツールほどこの手の積み重ねで作業時間が変わってくるので、更新が続いているのは頼もしいところです。



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