NVIDIAは、次世代のリアルタイム描画技術「DLSS 5」について解説した基調講演の映像を公開しました。SIGGRAPH 2026で行われたもので、NVIDIAの応用ディープラーニング研究ディレクターであるEdward Liu氏と、コンテンツテクノロジーディレクターのGabriele Leone氏が、その仕組みと狙いを説明しています。
DLSS 5とは
DLSSは、NVIDIAがGPU向けに開発しているAIベースの描画支援技術です。DLSS 5では、従来のレンダリング結果に生成AIを組み合わせ、フォトリアルな見た目をリアルタイムで補完・強化する仕組みが示されました。ジオメトリ(形状)自体は変更せず、ライティングやマテリアル、陰影といった見た目の質感だけを向上させる設計とされています。
DLSS 5のおもなポイント
- アルベド・法線・ライティング情報などのGバッファを活用し、ゲーム本来のアート表現やキャラクターの特徴を保ったまま強化するとしています
- 肌のサブサーフェススキャタリング、髪や植物の透過光、接触影、環境ライティング、反射といった表現を対象に質感を高める
- モーションベクターを利用してフレーム単位の安定性を確保し、ちらつきや破綻を抑えると説明しています
- 巨大な生成AIモデルをリアルタイム向けに蒸留し、高速・軽量な専用モデルとしてゲーム内で動作させる
- 開発者向けに複数のAIモデルや、Structure・Toneといった強度調整パラメータを用意し、シーンごとにモデルを選べる
- キャラクター・小物・背景などをマスクで個別に指定し、それぞれ異なる強度でDLSS 5を適用できる
- 既存のレンダリングパイプラインを置き換えるものではなく、その上に追加されるレイヤーとして提供される
NVIDIAはDLSS 5を「AIがグラフィックスを置き換えるのではなく、プログラマブルシェーダーやレイトレーシングのようにグラフィックスを拡張する技術」と位置づけています。提供開始は2026年秋を予定しているとのことです。
詳しくはNVIDIA Game Developerの基調講演動画をご覧ください。
管理人のひとこと
個人的に一番気になったのは、キャラや背景をマスクで分けて強度を変えられるという、アート側のコントロールが用意されている点です。自分はArnoldやPencil+4でのオフライン描画が中心で、リアルタイムのゲーム向け技術はメインの畑ではないのですが、AIで質感を足しつつ元のアート表現を壊さない方向で調整パラメータまで開けているのは好感が持てます。とはいえセルルックのように”あえて情報を削る”絵作りとフォトリアルを補強する技術は相性を見極めたいので、実際の作例が出てくるまでは様子見でいようと思います。



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