3Dモデルから線画を自動生成するBlenderアドオン「FreePencil2」が公開されています。作者は榊正宗氏。GitHubでGPL-3.0-or-laterのソースコードが公開されており、ビルド済みzipと日本語マニュアルが付くnote版が500円で配布されています(note版の公開は2026年7月26日)。
FreePencil2とは
FreePencil2は、モデルを頂点カラーで自動的に塗り分け、その色境界をコンポジタでエッジ検出して線として抽出するアドオンです。いわゆる「塗り分け法」で、原理が単純なぶん高速に動きます。
塗り分け法そのものは以前からある手法ですが、難しさは「どう塗り分けるか」という前処理にありました。FreePencil2はそこを自動化した点が新しく、STEP0の「全自動セットアップ」を1回押すだけで、塗り分けからコンポジタのノード構築まで完了します。

塗り分けを自動化している5つの処理
- 二面角の分布から分割角度を自動判定
- 隣接グラフを彩色し、隣り合う領域が必ず別の色クラスになるようにする
- 微小領域の自動マージ
- 接するパーツ同士のトーン分け
- リグ検出によるボーン単位の塗り分け
自動の結果が気に入らない箇所は、STEP4の頂点ペイントで手直しできます。塗り分けの描き替え・線を足す・線を消すの3つが手作業で行えます。
128万ポリゴンでも約28秒
作者による実測値が公開されています。Blender 4.5で、STEP0を押してから終わるまでを2回ずつ計測したものです。
- メカ(155メッシュ/5万ポリゴン)… 約8.7秒
- 戦車(43メッシュ/42万ポリゴン)… 約19.4秒
- 蒸気機関車(単一メッシュ/128万ポリゴン)… 約28秒

ポリゴン数が20倍以上に増えても処理時間は3倍程度に収まっており、規模が大きいモデルほど手作業との差が開く形になっています。

対応バージョンと4.2の制限
同じパッケージでBlender 5.2 LTS・4.5 LTS・4.3・4.2 LTSに導入でき、各版で33本の回帰テストが実行されています。5.2 LTSと4.5 LTSが推奨、4.3が動作確認済みです。
4.2 LTSは限定対応で、F12のレンダリングは他バージョンと同じ線画になるものの(同一シーンでの線量の差は全4版で1.1%以内)、ビューポートコンポジタがAOV出力を評価しないためライブプレビューには線が出ません。アドオン側の回避策がないため、4.2ではパネルにその旨が表示されます。4.1以下は非対応です。
既知の制限
- 透過マテリアル(BLEND)はAOVが書かれないためHASHEDへ変換される(透過・屈折を持つ本物のガラスは対象外。STEP0のチェックで無効化可)。形状・頂点数・シャープ・シームは変更されない
- パーツ数の多いモデルでは、パーツ・トーン分けと明度上限の兼ね合いで一部パーツの隣接輝度差が半減し、線が薄くなることがある(未解決)
- 4.5と5.2では線幅がわずかに異なる(位置は99.9%一致、5.2の方がインク量が約1.8%多い)。1つの作品では片方に統一する必要がある
- 5.2で保存した.blendを4.5で開くとコンポジタが正しく動かない
GitHub版とnote版の違い
GitHubリポジトリはGPLに基づくソースコードの公開で、自己責任での利用が前提です。使い方マニュアルやサポートは付属せず、配布用zipは blender --command extension build --source-dir . --output-dir dist で自分でビルドする必要があります。
一方note版(500円)には、ビルド済みzip・日本語マニュアル・サポート・更新通知が含まれます。ソースコードだけが必要ならGitHub、すぐ使いたいならnote版という住み分けです。
詳しくはFreePencil2(GitHub)、または作者のnote記事をご覧ください。
管理人のひとこと
塗り分け法自体は昔からある考え方ですが、その前処理を自動化してボタン1つに落とし込んだところが実用的だと感じました。線画を出すとき、Freestyleは重くて大きいモデルだと現実的でない、かといってインバートハルは形状に手を入れることになる、というのがいつもの悩みどころなので、頂点カラーを足すだけで形状・頂点数・シャープ・シームを変更しないと明記されているのは安心材料です。まだ試してはいませんが、メカや背景など硬い形状のモデルとは相性が良さそうに見えます。逆に、パーツ数が多いと線が薄くなる場合があると作者自身が未解決の制限として挙げているので、キャラクターのように分割が細かいモデルでどう出るかは実際に触って確かめたいところです。500円で日本語マニュアルとサポートが付くなら、まずnote版から入るのが素直だと思います。



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