ふぐ氏(hinata_hugu)が2026年8月12日、Blender用の移動・回転支援アドオン「SnapMove」をBOOTHで無償配布しています。面・辺・頂点をクリックするだけでオブジェクトの原点と軸をそこに合わせられるツールで、8月16日にはv1.1.0へ更新されました。
作者は配布ページで、狙いをこう書いています。「斜めの面にボルトを付けたいのに、角度を合わせるだけで一苦労」「『この頂点を、あの頂点に合わせたい』だけなのに、数値を入れて試行錯誤」——こうした位置と向きを決めるだけの作業を短くするための道具だとしています。

クリックした場所が基準になる「Pick on Surface」
オブジェクトを選んでサイドバーの Pick on Surface を押し、合わせたい面をクリックすると、その場所へ原点が移動し、ローカルZ軸が面の法線を向きます。ジオメトリ自体は動きません。
修飾キーで拾うものが変わります。
- そのままクリック/面の中心を拾い、向きは面の法線
- Shift+クリック/辺の中点を拾い、向きは辺の方向
- Ctrl+クリック/頂点を拾う(向きの指定なし)
原点と軸が揃ってしまえば、あとはBlender標準の G や R に軸キーを2回押すだけで、その面に沿って動かせます。作者は「覚えることが増えません」と説明しています。他のオブジェクトの面も拾えるので、「この部品を、あの壁の傾きに合わせる」がそのまま通ります。
2回クリックするだけの「Snap Session」
もうひとつの柱が Snap Session です。起動して1回目のクリックが動かす基準点、2回目が行き先という操作で、頂点・辺の中点・面の中心にぴったり吸着します。
- オブジェクトが追従するので、着地点を見ながら決められる
- X/Y/Z で軸拘束、Shift+軸キーで平面拘束
- B を押している間だけ手前のオブジェクトを飛ばして奥の点を拾える(さらに奥はAlt+ホイール)
- X線表示をオンにすると、同じオブジェクトの裏側も対象になる
15/30/45/60/90度の固定回転ボタンも用意されており、動かしてから角度を詰める流れが一連の操作でつながります。
オブジェクトモードだけで完結する
面・辺・頂点の指定も、複数面の平均も、すべてオブジェクトモードのまま行えます。編集モードに入る必要がない設計で、複数の面を平均したいときは Alt+クリックで拾い足します。
裏を返すとオブジェクトモード専用で、編集モードでは動きません。作者は既知の制限として、Alt+Dでリンク複製した共有メッシュには使えない(原点操作が他のオブジェクトにも影響するため処理を中断する)ことと、面の指定は見えている面に限られることを挙げています。
CAD的な操作ができる上級者向け機能
Snap Sessionの最中に、次のキーでより踏み込んだ操作ができます。作者は「普段は使わなくて構いません」と添えています。
- R/3点指定の回転(中心 → 取っ手 → 目標)
- L/2つのアームを半径指定で回して交点で接続(リンク機構のリギング向け)
- C/3点から円の中心を求める(パイプの口や穴の中心)
- D/2点間の距離ぶんだけ移動
- A/空中に補助線・補助円を引き、その交点に吸着
v1.1.0の主な更新
公開から4日後の8月16日に、要望を受けたアップデートが入っています。
- 別のオブジェクトの陰にある点へ吸着できるように(Bを押している間、手前の面を飛ばす)
- 重なりが深い場合はAlt+ホイールで手前から順にたどれるように
- X線表示時に、頂点・辺モードで同じオブジェクトの裏側(箱の奥の角など)も拾えるように
- 移動の基準点と目標点を、同じオブジェクトから取れるように復旧
- 原点から遠い座標のシーンで、奥の要素に届かない場合があったのを修正
使った人の反応
実際に触った人の投稿がXに出ています。建築を手がける堀江優太氏は、「Blenderには任意の点を基準に回転させる機能が無くて、上り梁を架けるのが面倒」という悩みがそのまま解決したとして、実作業の様子を動画で公開しています。このアドオンは、氏のその一言がきっかけで作られたものです。
堀江氏は別の投稿で、Blender 4.0から基点コピーに相当する操作は入ったものの回転はまだ弱いとし、SnapMoveがSketchUpのような挙動の回転スナップを実現していると補足しています。建築・CAD側から見た評価という点で、製品ページの説明とは別の角度です。
3DCG側からも、標準機能との差を具体的に挙げた投稿が出ています。
「3Dカーソルと座標系を触ってモードを往復する」という手順そのものを無くしにいっている点は、どちらの投稿にも共通しています。
価格・入手先
| 価格 | 無料 |
| ライセンス | GPL v2以降(ソースコード同梱) |
| 動作環境 | Blender 4.2 LTS 以降/Windows・macOS・Linux |
| 入手先 | BOOTH(hinata-hugu29) |
Blenderエクステンションとして配布されており、ZIPをBlenderのウィンドウにドラッグ&ドロップするのが最も簡単な導入方法です。導入すると3Dビューの右サイドバー(Nキー)に SnapMove タブが出ます。詳細・ダウンロードは配布ページをご確認ください。
管理人のひとこと
初見のアドオンですが、「原点と軸を先に決めてしまえば、あとは標準のG・Rで足りる」という割り切りが良いなと思いました。新しいギズモや独自の操作系を覚えさせるのではなく、Blender標準の操作に載せるための下ごしらえだけをやってくれる作りです。
背景モデリングだと、斜めの壁や柱に手すり・配管・ボルトを付ける場面が頻繁にあって、そのたびに原点を移して軸を合わせて……を繰り返しています。面をクリックするだけで法線方向がZ軸になるなら、その往復がまるごと消えます。編集モードに入らずに済むのも、選択状態を壊さない点で実務的です。
ただしリンク複製したオブジェクトでは処理を中断する仕様なので、同じ部品を大量に並べる使い方だと先にシングルユーザー化が要ります。ここは事前に知っておくと詰まらずに済みそうです。作者が制限を正直に書いているのは、かえって信頼できると感じました。



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