Adobeが2026年10月21日、Substance 3D Painter 12.2を公開しました。目玉はベイクモードの「ケージペイント」で、ベイク用のケージの距離をメッシュの上に直接塗って調整できるようになりました。ハイポリがケージからはみ出した所だけ、ケージをその場で広げられます。ほかに、ポリゴンフィルでのループ単位の選択、テクスチャセットのハイライト表示、透明な面の重なりを正しく描く「順序に依存しない透明度」が入っています。
ベイク用のケージを、はみ出した所だけ塗って広げる
ベイクモードに「Paint cage」ボタンが加わりました。押すとケージペイントのモードに切り替わり、ペイント・消しゴム・ポリゴンフィルの各ツールで、ローポリからケージまでの距離を調整できます。全体にかけるケージの距離はそのままで、その上にピクセル単位のオフセットを塗り足す仕組みです。塗った内容は中間のテクスチャとして保存され、ベイクのときにケージのメッシュをずらすのに使われます。スキューのペイントと同じ考え方だとAdobeは説明しています。
上部のツールバーにある「Strength」で、1ストロークで加えるオフセットの量を決めます。サイズ・フロー・ストロークの不透明度・間隔もふだんのブラシと同じように使え、値を反転するボタンもあります。シンメトリーにも対応しています。

ポリゴンフィルを使うと、パーツの一部や全体のケージ距離をまとめて変えられます。パーツをクリックするとフローティングのツールバーが開き、「Cage Strength」のスライダーでケージをリアルタイムに広げたり縮めたりできます。塗ったオフセットは、この値にさらに足されます。

ケージペイントのモードに入ると、ビューポートは専用の表示に切り替わります。塗ったオフセットはケージの上に緑で重ねて表示され、ケージ自体もベイクで使われる形に変形して見えます。「Baking visualization」パネルでは、ケージの面とワイヤーフレームの表示と不透明度、オフセットのグリッドの不透明度、オフセットの陰影の強さを変えられます。

コンテキストツールバーからは、ブレンドモードを3つ選べます。「Normal」は塗った値で置き換え、「Lighten (Max)」は塗った値と今の値の大きいほうを残し、既定の「Linear dodge (Add)」は今の値に足します。ポリゴンフィルでは、ビューポートの右クリックメニューからほかのブレンドモードも使えます。ケージとスキューのペイントには、設定を既定に戻す・塗った内容を消す・その両方、の3つを選べるリセットメニューも付きました。
ポリゴンフィルで、ポリゴンのループを1クリックで塗る
ポリゴンフィルは設定画面が作り直され、選択モードにループ用の2つのモードが加わりました。「Polygon loop fill」は、四角ポリゴンのループ1周を1クリックで塗ります。「Partial polygon loop fill」はループの一部だけを塗るモードで、ループに沿ってドラッグすると範囲が伸びます。ドラッグ中は選択の両側にトポロジーの流れを示す矢印が出て、カーソルの横に縦横それぞれの選択ポリゴン数が表示されます。どちらのモードもAltを押しながらドラッグすると、反対方向にも選択が伸びます。ほかの選択モードからでも、Shift+Aを押している間はPolygon loop fillに切り替わります。

選択範囲にどのポリゴンを含めるかは、新しい「Hit-test」で決めます。既定の「Intersection」は範囲に一部でもかかったポリゴンを、「Contained center」は中心点が範囲の中にあるポリゴンだけを塗ります。「Visible polygons only」が既定でオンになり、カメラから見えない面や裏向きの面は塗られなくなりました。オフにすると、これまでどおりメッシュを突き抜けて塗れます。
ポリゴンフィルでも、レイヤーと同じすべてのブレンドモードと不透明度のスライダーが使えるようになりました。マテリアルモードで有効にしたチャンネルは、1回の操作でまとめて塗れます。ループの2つのモードはミラーのシンメトリーに対応しています(放射状のシンメトリーは安定しないことがあるとのことです)。Aキーを押し続けて前のストロークを再開する操作も、ポリゴンフィルで使えるようになりました。ワイヤーフレームは作業中のテクスチャセットだけに表示され、ほかのテクスチャセットのジオメトリにカーソルを乗せると、塗れないことを示すカーソルに変わります。

どのパーツがどのテクスチャセットかを、ビューポートのハイライトで確かめる
テクスチャセットの一覧で項目にカーソルを乗せると、そのテクスチャセットのジオメトリがビューポートでハイライトされます。UVタイルにも対応しています。反対に、ビューポートでCtrl+Alt(MacはCmd+Alt)を押しながらモデルにカーソルを乗せると、カーソルの下にあるテクスチャセットのジオメトリがハイライトされます。ペイントとベイクのどちらのモードでも使え、ベイクモードでは無効にしたテクスチャセットがグレーで表示されます。

透明な面が重なっても、ちらつかずに表示する
リアルタイムのビューポートが「Order-independent transparency(順序に依存しない透明度)」に対応しました。透明・半透明の面がいくつも重なったときに出る、並び順の崩れやちらつきがなくなります。Display Settingsの「Render settings」でオンにする設定で、動作への影響を避けるため既定ではオフです。「Sort capacity」で1ピクセルあたりに並べ替えられる透明の層の数を、Low(1x)からUltra(16x)まで選べます。既定はHigh(4x)で、値を上げるほど複雑なシーンでもきれいに出ますが、メモリを多く使い、動作も重くなります。

そのほかの変更
- Display Settingsを「Environment」「Camera」「Post effects」「Render」「Visualization」の5つに分け直し、上部のボタンで各グループへ移動可能
- ブラシに加算のブレンドモードを追加。同じレイヤーの中でストロークが置き換わらずに重なっていくので、色を足したり、ハイトを盛ったり削ったりする使い方が可能
- Substanceのマテリアルとフィルター向けに、エンジンマップ「mesh_uv_neighbor」を追加。UVのシームの反対側にあるピクセルを探すためのテクスチャ
- ベイカーを3.23.0、Substanceエンジンを9.6.1に更新
- NVIDIAの最新ドライバー(616.56〜617.14)についての警告を追加
- 修正: メッシュ名でのアンビエントオクルージョンの「Ignore backface」が効かない問題、AMDのGPUで重いハイポリをベイクすると落ちる問題、VRAMを使いすぎる問題、書き出したUSDのジオメトリがUVの境目で分かれる問題など
変更の全体は公式のリリースノートにまとまっています。
管理人のひとこと
ハイポリをベイクして1か所だけ抜けていたとき、ケージの距離を全体で上げると、今度は隣のパーツを拾ってしまうことがあります。結局そこだけ別にベイクして合成し直すこともあったので、はみ出した所だけ塗って広げられるのは助かります。
ポリゴンフィルのループ選択は、マスク用にパーツを帯状に塗り分けるときに使えそうです。範囲で選ぶと裏側の面まで塗られていたのが、見えている面だけに変わったのもありがたいですね。



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