ComfyUIがTrellis.2とPixal3Dを標準搭載|商用利用も可能に

CG全般

ComfyUIは、画像生成AIを自分のPCで動かすための無料ソフトです。処理のひとつひとつを「ノード」という箱として画面に置き、線でつないで手順を組み立てます。そのComfyUIが2026年8月31日、画像1枚から3Dモデルを作るAIモデル「Trellis.2」と「Pixal3D」を、追加インストールなしで使える標準機能として組み込んだと発表しました。

メッシュの手直しからテクスチャの書き出しまで、ComfyUIの中だけで完結します。ただし品質について、ComfyUIは有料のクローズドソース製に及ばないと明記しています。生成されたままのメッシュが実制作にそのまま使えることはまずない、という前提で後処理のノードが用意されており、挙げられている使いどころも試作や検討の側です。

入力画像の4脚ロボットと、そこから生成された3Dモデルの比較(画像: ComfyUI)
入力画像1枚(左)から生成された3Dモデル(右)(画像: ComfyUI)

これまではインストールでつまずいていた

Trellis.2は、Microsoftが2025年12月にソースコードを公開したモデルです。1枚の画像から形とマテリアルを作るもので、規模は40億パラメータ。公開直後から有志が導入用の追加パーツ(カスタムノード)を配布していて、ComfyUIは代表的な2つの作者に、需要を証明して何か月もコミュニティを支えたと謝意を示しています。

ただし導入は難物でした。オリジナルの実装は、AIの計算に使う土台のソフトを指定の古いバージョンに入れ替えることを前提としていて、多くの人は動いているComfyUI環境を巻き戻す必要がありました。さらにその上に、PCの構成ごとに組み立て直さないと動かない追加部品が5つ積み重なります。ComfyUIによれば、それぞれが使用中のPython・土台ソフト・GPU環境のバージョンの組み合わせに正確に一致する必要があり、どれかが更新されるたびに組み立てが失敗してインストールが壊れていたとのことです。

今回は、その組み立てが必要だった3Dの後処理を一から書き直し、追加部品なしで動くようにしています。ComfyUIが動いている環境なら、手を入れずそのままモデルも動きます。

商用利用を妨げていた部品が外れた

実務で大きいのはライセンスです。Trellis.2自体のコードと学習済みデータはMITライセンス(改変も商用利用も自由)で公開されています。ところがオリジナルの構成は、メッシュを画像として描き出す部分にNVIDIAのnvdiffrast、質感の計算にnvdiffrecを使っていて、この2つはNVIDIAの独自ライセンスで用途が非商用の研究・評価に限られていました。

ComfyUIは「スタジオが参照実装から出したアセットを納品するのはグレーゾーンに踏み込むことになる」と書いています。今回の標準搭載でこの2つが構成から外れ、生成したものをライセンス上の制限なしに使えるようになりました。

Trellis.2とPixal3Dの違い

Trellis.2は、1枚の画像から最大1536³相当の解像度で形とマテリアルを生成します。開いた面・非多様体・閉じた立体のいずれのトポロジーも扱え、ベースカラー・ラフネス・メタリックを出すテクスチャ生成モデルも同梱されています。

Pixal3Dは清華大学とTencent ARC Labの研究者によるモデルで、2026年4月にSIGGRAPH 2026に採択されました。Trellis.2を土台にしつつ、入力画像のピクセルと3Dの位置を直接対応させる方式をとっていて、入れた画の見たままに近い形が出ます。ComfyUIは、メッシュが入力画像に厳密に沿うぶんPixal3Dのほうが総じて結果がよいとしています。

入力画像のパーカーと、そこから生成された3Dモデルの比較(画像: ComfyUI)
布のような柔らかい形状の例(画像: ComfyUI)

生成したメッシュを整えるノードも一緒に入った

生成されたままのメッシュが実制作にそのまま使えることはまずない、とComfyUIは書いています。そのための後処理ノードが新たに追加されました。

  • Remesh Mesh: 穴やメッシュの破綻を修復
  • Decimate Mesh: 面数・頂点数を目標値まで削減
  • Smooth Mesh Normals: メッシュのボリュームをなめらかに
  • Fill Holes: 生成時にできた穴を埋める
  • Merge Meshes / Paint Mesh / Render Mesh ほか

以前からあったLoad 3D・Preview 3D・Save 3Dのノードも、これらのモデルと今のメッシュワークフローに合わせて作り直されています。

ノーマルとAOまで焼かれる

Trellis.2のテクスチャ生成モデルが出すのは、ベースカラー・ラフネス・メタリックの3枚です。ComfyUIの実装ではこれにUV展開のノードが加わり、ハイポリから焼いたノーマルマップとアンビエントオクルージョンの2枚が追加で生成されます。

生成されたUVの配置、ベースカラー、ノーマル、ラフネス、メタリック、アンビエントオクルージョンの6枚(画像: ComfyUI)
出力されるマップ一式。UVの配置は細かい断片の集合になる(画像: ComfyUI)

ComfyUIはこの点について「テクスチャは完璧か? いいえ。ただし無料で、一般向けのPCで生成でき、好きなように使える」と書いています。

品質は有料サービスに及ばないと明記している

ComfyUIは品質について、Hunyuan 3D・Tripo・RodinといったクローズドソースのサービスのほうがTrellis.2やPixal3Dより良い結果を出すとはっきり書いています。最高品質が必要ならそちらが選択肢になる、という立場です。

今回の統合の価値は別のところにあるとして、自分のPCの中で動く・1点あたりのコストがゼロ・作ったものにライセンス上の制限がない、の3点を挙げています。向く用途として挙げられているのは、繰り返しの試行、プロトタイピング、スタイライズされた仕事、3Dを2Dに落とすワークフローです。

価格・入手先

価格無料
対応バージョンComfyUI 0.34.0 以降(またはクラウド版のComfy Cloud)
ライセンスTrellis.2はコード・学習済みデータともMIT。商用利用可
入手先ComfyUI公式ブログ

ワークフローはComfyUI内のテンプレート集に入っているほか、公式ブログからもダウンロードできます。モデル本体に加えて、背景を切り抜くBiRefNetと、カメラの画角を推定するMoGeも必要です。導入手順とファイルの置き場所は公式チュートリアルにまとまっています。

管理人のひとこと

画像1枚から3Dが出るモデルは前から出ていましたが、導入の手順を読むたびに引き返していました。土台のバージョンを入れ替えるところから始まると分かった時点で、だいたい気持ちが折れます。環境をいじらずに動くようになったというのが、いちばん大きい変更点だと思います。必要なVRAMは公式に書かれていないので、試すとしても手元の8GBで足りるかどうかは分かりません。この手のニュースを見るたびに買い替えを考えては見送ってきたので、買うタイミングは完全に逃しました(泣)

ライセンスの話を正面から書いているのは好感が持てます。nvdiffrastとnvdiffrecが非商用限定なのを知っていても、そこを踏まえてパイプラインを組み直すところまでやる例はあまり見ません。仕事で触ってよいかどうかの判断が、ここで初めてできるようになりました。

そのうえで、実務に入れるとなると、まだ懸念のほうが多いというのが正直なところです。生成されたままのメッシュが実制作に使えることはまずない、とComfyUI自身が書いているとおりで、出力されたUVの配置を見ても断片が細かく散っています。テクスチャを描き直す前提なら、結局は自分で展開し直すことになりそうです。使うとしてもラフの当て込みや形の検討まで、そこから先は手で作り直す形でしょう。それでも、何がどこまでできるようになったのかは、この業界にいる以上は追っていきたいですね。

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